河内風土記 おいろけ繁盛記

河内平野の中野集落はおいろけの天国である。後家のお久仁の家には、ブラシ工場主の豚の毛はんがこっそり通い、中風でねているお品は嫁をほしがる馬鹿息子のパア太郎と口論がたえない。井尻先生の教え子の一人である翠は、太陽理髪店に務めているが、常連のブローカーの黄、セールスマンの良松、八百屋の視爺村雲などは、彼女に好色な眼をむけている。ところがこの集落に一大事件が持ち上った。天台院の今野東吾和尚に土地の無料提供を受けた女医の椿菊子はイカス美人だが、営業妨害と産婆のおりんを先頭に住民達が大騒ぎをするため、菊子を支持する東吾和尚は一同の信任を失い、村の相談役は伊之助親分の手に移ってしまった。

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